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2015年12月

2015年12月19日 (土)

無視される精油の真偽

アロマセラピストの皆さん、ご自身が利用している精油の質を疑ったことはありませんか。近年、学術的な研究をなさっておられる精油の分析者たちが、異口同音に市販の精油のほとんどに人工的な手が加わっていると公言なさっています。

 

その人工的な手を加える技がますます巧妙になり、放射線炭素を用いた年代測定で、精油成分の中核となる炭素を調べないとわからないところまで来ているとか。植物から抽出したばかりの成分と、化石燃料、いわゆる石油系の化学物質を利用した香料などが混じている場合のことが取りざたされる時代に突入しています。著名な精油分析者であるDr.Pappasがフランキンセンス精油を例にとってお話しされているのを聞きました。

 

精油分析の専門家でも検出できないカラクリがあり、一般のアロマセラピストには打つ手がありません。最近、欧州の著名な精油の分析者と情報を交換する機会に恵まれましたが、Dr.Pappasの情報はご存知ないようでした。

 

分析者がいて、当該製品のLotごとに分析値を付して精油を販売している会社があります。そういうデータのほとんどはGC/FIDによる分析で、成分が確実に同定されている訳ではありません。アロマセラピーの研究をする際に、そのままその値を学術報告に使うことはできないのです。その精油販売会社の研究室にGC/MSが備わっていて、十分な分析データが蓄積されていれば、ラフな推定値ということで、日常的な精油の使用にはそれなりの参考値にはなるかと思います。そういう精油販売会社に、分析装置の詳細を質問し、分析の条件などを問い合わせても、ほとんどの場合、回答は得られないでしょう。

 

ある海外の大学で精油分析の受託サービスを行っているところがありましたので、問い合わせをしたところ、分析を快諾して下さいました。しかし、GC/FIDのみで、質量分析装置がないようでした。当然、分析装置のパラメーター(温度やカラムのサイズなどの条件)の提供が可能か否かのお話しをすると、突然E-メールは通じなくなってしまいました。

 

アロマセラピーでは利点ばかりが強調されて、研究者が使っている精油の真偽に関する情報を私たちは得ることができないことがほとんどです。研究に使われている精油に偽和があったとしたら、その研究発表の内容は、学術滴根拠になるでしょうか。アロマセラピーに関する学術報告を総ざらいするべき時がきていると感じています。

 

精油販売会社には、生産者に直結していて、そのルートの製品であれば信頼できる企業があります。ある精油販売会社で数多い種類を扱うところでは、製品すべてが本物だという保証はどこにもないのではないかとも感じています。

 

特にアロマセラピー用精油は、世界の精油の全取引量で数パーセントにしかなりません。食品業界や化粧品業界にドラムで大量に取引される精油を小さなボトルにつめると、1本数万円にもなる製品があれば、様々な組織がアンダーグラウンドで動くことでしょう。フランスのラベンダー農園のHenri Pouchon氏は、自身の農場で年間50tのラベンダー精油を蒸留していますが、彼の農場産ラベンダーだというふれこみで、年間、海外に250t輸出されていると公言して嘆いておられます。このPouchonおじさんに、当協会セミナーの受講生が実際に農場を訪ねて会ってきています。フランス産のラベンダー精油、一体、どこで水増しされるのでしょうね。

 

精油業界も、ペットフード業界も、本当におそろしいことばかりで、心の平静を保つことができません。世界最大手の精油販売会社に対してカリフォルニア州政府から、販売する製品(精油を利用した化粧品や食品も扱う会社です)の多くに鉛が検出されたため、警報が出されました。ごく最近のことです。この企業は、自社の精油であれば猫に安全と言っているので、許せません!ケモタイプ精油(この用語自体が商標登録されています)であれば、猫に安全に使用できると教育している日本のアロマ教育団体もあります。猫に精油が安全だという根拠を学術的に示していただきたいものです。

 

日本アニマルアロマセラピー協会  田邉和子

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